頭だけのカブトムシ
胴体は多分鳥にでも食べられた
まだ生きていて
仰向けに転がりながら
かろうじて残った前足2本がくねくね動いている
乾いたアスファルトの上で
私の前に立ち塞がり
まるで地獄に手招きしているかのよう
私はそっちにいかないよ
それだけ言ってバイバイした
帰り道
さっきと変わってもっと隅の方に彼が居た
完全にこと切れて
もう足も動いていない
どうやら勧誘に失敗したようだ
誰も連れていけなかったのか
立派な兜もやはり死ねばただのおかざりに見える
ざまを見ろ。
私は違う。